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歴史と文化は共鳴しながら、いまの社会を形作っている

  • 史学科

長浜 由里菜

高校の授業の一環で進路適性?自己診断テストを受けたところ、「哲学科」の学びが自分の興味と合っているという結果でした。考えていなかった結果でしたが、あらためて調べてみると、哲学は確かに興味深いと感じ、哲学を専門的に学べる大学を探しました。そのうえで「女子大学」で独立した学科として「哲学科」がある大学は聖心女子大学だけだとわかり、入学を希望しました。

リアルな学びを知ってから学科を選べたことが、充実した大学生活に繋がった

入学後、基礎課程で哲学科の授業を中心に学ぶなかで、史学に新たな興味がわき、その後の学科選択に大きく影響しました。

具体的なきっかけとなったのは、学科?学年問わずひとつの哲学的テーマについて話し合う「倫理学概論」です。この授業のなかで、史学科の先輩が、思想家の生きた時代背景を掘り下げ、歴史的根拠を用いて発言されていたことに大変魅力を感じました。というのも、抽象的概念や原理を深く掘り下げて考える哲学的思考が、自分の感性に響かず、このまま哲学科に進むことに迷いが生じていました。そんなときに先輩の発言を聞いて、自分自身も、確かな歴史的根拠を用いて「論理的思考」を身につけたいと思ったことが大きく、最終的には史学科を主専攻にすることに決めました。
それでも、著名な哲学者の思考を借りて考察を深め、自己との対話のなかで生まれる独自の意見を、お互い尊重し受け止めることの大切さを実感した哲学科の学びも捨てがたく、副専攻制度を利用して哲学も学び続けています。

こうして、自分の興味、関心を追求できたことで、考察の幅が無限に広がっていくのを感じ取ることができましたし、みずから学びとった知識と経験が結びつくことで、学習意欲も高まりました。

「わからない」は恥ではない

大学で文系学問を学ぶ意義は、多様な視点から物事を観察?分析し、論理的思考力を鍛えることにあると考えています。その論理的思考力の精度を上げる際に重要なのが、「根拠」の確実性だと、史学科の学びを深めるなかで感じています。

なかでも一番衝撃を受けたのは、「史料批判」という考え方です。同時代史料であるか、根拠となり得るものなのかと、まず疑ってみるという、史料の真偽や信頼性を検証する作業を通じて、自身の思考に、裏付け作業を伴った「正確さ」を求めるようになったと感じています。
例えば、神話を事実として扱うことは出来ません。また、日記も主観が入っている。書かれた意図を読み取ることが大切だと学びました。

高校では世界史を得意としており日本史は敬遠がちだったのですが、学科ではあえて日本史を専攻しました。蓄えのある世界史の知識と視点に日本史的視点が加わることで、より歴史が複合的、立体的に捉えられるとともに、対比的な思考のレパートリーが豊富になったと感じています。
苦手と感じていた学問と向き合えたのは、多角的な視点を養うリベラル?アーツ教育のおかげであり、「わからない」を恥とせず、お互いを受け入れ助け合う聖心の学びの土壌があったからこそだと感じています。

また、聖心は学生数が少ないので、友人や先生と綿密な関係を築くことが可能ですし、自分自身が学ぶことに積極的になれる環境があります。
日本古代史ゼミでは、よく漢文の読み下し文を読みます。私自身、世界史とは逆に漢文は苦手でしたが、間違えても一緒に学べばいいと思えるゼミのアットホームな雰囲気に救われ、恐れず挑戦できるようになりました。
同時にこのゼミでは、現代の時代感覚とは乖離している「古代」を考察するので、古代人の生活基盤をもとに考えるようになり、結果的に相手の価値観を尊重する姿勢を身に着けることができたと感じています。

文学作品や絵画、建造物なども、作られた当時の社会や文化を伝える貴重な史料となります。かつて読んだ文学作品でも、扱われた時代の歴史的文献に触れることで、その文学にあらたな視点が生まれ、面白さが広がったということがありますし、歴史を学んだことで、文化の世界に触れる喜びが広がりました。
また、絵巻物や経典についても、明確な着眼点や専門的な視点が生まれたことで、国宝など歴史的遺物を観る楽しさも膨らみました。
教授はよく、歴史は文化だと語っていらっしゃいますが、自分自身、日常のなかで経験しながら、歴史と文化は共鳴しながら、いまの社会を形作っていることを実感しています。

学科旅行(宮島)にて

「仲間」の存在の大切さを実感した課外活動

課外活動では、学生会役員会に所属して渉外を担当し、最後の1年は副会長として活動してきました。入学式や卒業式などの学校行事の運営、学生冊子の発刊、紹介動画の作成など、活動は多岐にわたり多忙な日々でしたが、どれも初めて経験することばかりで、大変ながらも新鮮な気持ちで楽しむことが出来ました。特に「チャリティラッフル(事前福引イベント)」では、何百社もの企業様に協賛をお願いするのですが、学生の間にこうした経験ができたことは大変貴重で、社会に出てからも役立つと感じています。また、苦手意識のあった動画制作では、旅行で撮影した動画を編集して練習するなど、楽しさと繋げてみることで「苦手」を克服する工夫を重ね、最終的には満足のいく完成度の動画を作成することができました。この自分のなかのネガティブな要素をポジティブに変換させることで成果につなげてきたやり方もまた、将来に生かせると考えています。
また、4人の同期とは、どんなときもお互いに助け合い、時には意見がまとまらず夜通し電話で話し合いをしたこともあります。率直に話せて信頼できる仲間と一緒に活動した日々は、私の一番大きな財産です。

同期4人と

物事の歴史的な意味を問いながら社会に貢献していきたい

史学での学びを通して、歴史は、単に過去の出来事を記録するだけでなく、その出来事が起きた背景や原因、そしてそれが現代社会にどのような影響を与えているかを分析する学問だということを実感しました。同時に授業で歴史的資料や文献にふれながら、こうした貴重な資料を残すことの意義について考えるようになりました。特に、「博物館史料保存論」という授業では、温湿度管理が資料保存の生命線だと知り、卒業後はそうした文化財の保存に尽力している企業に就職いたします。

社会人として、現代社会のなかで物事の歴史的な意味を問いながら、社会に貢献していきたいと考えています。

  • 史学科
長浜 由里菜

※所属?肩書きを含む記事内容は、インタビュー時(2025年)のものです。

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